イギリスに住んでいると、市民レベル、政府レベルで、ここ数ヶ月の気候変動に対する態度に大きなシフトが感じられる。エクスティンクション・リベリオン ー「絶滅への反逆」という気候変動による人類絶滅危機を訴えるグループがあるのをご存知だろうか。去年の夏イギリスで構成され、平和的ではあるが、逮捕されることを辞さない体を張った行動で政府が無視できない存在になっている。
また、BBCの自然ドキュメンタリー番組で世界に知られる動物学者デーヴィッド・アッテンボロー卿が、「気候温暖化は何千年に一度の地球的危機」であると発言。イギリス以外で視聴できないBBCではなく、Netflixで「Our Planet」を制作したのも、「一夜にして世界2億の視聴者に警告を届けられる」という決断があったからだ。彼は今年93歳になる。自然を愛し、地球上のあらゆる地域を取材した人物として、この100年の移り変わりに心痛める彼以上のポスターボーイ(広告塔)は見当たらない。終盤に差しかかっている彼の人生、最後で最大の務めと考えているように見受けられる。
ちょっと明るいニュース。2019年5月1日、イギリス政府は気候・生物多様性に対する緊急事態宣言を発出した。これまで各国自治体では宣言されていたが、国としては初めて。アイルランド政府も5月9日に同様の発出を行った。
イングランド銀行は4月15日、金融機関と保険会社においては気候変動を鑑みた経営方針、その全面的な情報開示を組み込んでいかなければ、結果的に多大な損害を被ることになると発表。気候変動関連財務情報開示タスクフォース(The FSB Task Force on Climate-related Financial Disclosures)、略してTCFDが法制化された。端的に言うと、気候変動の施策なしの会社経営では今後存続は不可能ということである。潜在的なリスク査定のプロフェッショナルが警笛を鳴らしている。この波を受けて、まずグローバリゼーションを担った一連の大企業、そして中小企業が早急に舵を切ることが望まれる。
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