よくイギリスのコメディでも典型的な掃除人さんスタイルとして登場し、誰もが掃除婦さんとして認知するスタイリングです。そのユニフォームとは、
・すっぽり被れるカバーエプロン
・仕事のあとのソーシャルライフでビシッとキメるカーラーを巻いたお髪を守る、ヘアネットかスカーフ
・手を守りながら思う存分ゴシゴシできる鮮やかな色のゴム手
を完璧なスタイルまで昇華するには、
・もうすでにこのあとお出かけ予定があることを暗示する青いアイシャドウ
・上記のユニフォームはできるだけドギツく
・ゴム手もショッキングピンクや黄色の、この上ないケミカル色
・くわえタバコ(ゴム手を嵌めた手で思いっきりスパスパ)
そのイメージを最大公約数でスタイリングした掃除婦さんたちが登場しました。環境破壊に対するプロテスト団体、エクスティンクション・リベリオン(XR)が科学博物館、サイエンス・ミュージアム前で行ったデモです。
これって反則ですよね?
なかなかお目にかかれない熱帯魚のような女性たち、私はドラムで参加したものの、この人たちが登場してから写真撮るのに夢中になってしまい、片手でドラムスティック、片手にカメラという心身分離状態でやり過ごしました。
掃除婦さんの背中に書いてある「ビヨンド・ファックド」とは「どうもこうもできない状態を遥かに越えている」という意味です。
石油会社シェルが、サイエンスミュージアムの展覧会をスポンサーしていることに対する抗議です。
この博物館は学校の課外授業や親子などキッズやファミリーが科学の力を楽しく、明るく学ぶ場所で、今回は「Our Future Planet」という環境に関する展覧会。気候変動による危機をどうやって乗り越えるか、環境をこれ以上破壊せずに行う改革的な方法の提案をしています。
地球温暖化対策の初めの一歩は、化石燃料の使用を抑制することなのだけど、石油とガスの化石燃料資源生産量が未だ9.5割以上を占めるシェルに、スポンサーする権利はないっ!という意思表示です。
大手石油会社は毎年約2億ドルを「反気候変動ロビー活動」に投入しているというフォーブスの報道 は2019年。あ、これ、字面が「ん?気候変動に反した活動をしているのか。それは多少なりともカーボンニュートラルに向けて努力していることだね」とうっかり落ち着きそうですが、違います。
「反気候変動」は気候変動に関する政策を遅延させ、その制定を操作し阻止するための活動で「気候変動対策に向けたでっかいアンチテーゼの風呂敷を広げ、包み込んでうやむやにしようとしてるねん。ですよ。
年間2%って、す、少なすぎ。
5月26日、オランダ・ハーグの地方裁判所は英蘭シェルに対して、2030年までの温暖化ガス削減計画で「19年比で45%減」を命じた。環境保護団体などの訴えを認めた。地方裁判所レベルとはいえ、司法が企業に脱炭素目標を命じる画期的な判決だ。「判決は残念だ。控訴を検討する」とシェルはコメントした。(日経より)
日経は「シェルは脱炭素に対して消極的というわけではない。」と書いていますが、たった2%というのはイヤイヤやっているとしか思えません。投資家が脱炭素ビジネスに目を向ける流れが本流となるまでは、こんな風にグズグズなのでしょうね。
そのような会社がしれ=っと「環境改善に力一杯貢献しています。」と子供に植え付けるとは何ごとじゃ!ということなんです。
で、このミニミニ活劇は、展覧会初日。XRには様々なグループがあって、シアター系やキッズ・ファミリー系もあり。アマチュア劇団並みのクオリティです。
↓ 垂れ流された石油を掃除するグラマラスな掃除婦さんたち。虹色のふわふわスカーフでカーラーを守り、女心をパッチリメイクアップで忘れないレディー。
何を掃除しているかっていうと、スーツ姿でやってきたオイルタンクたちが、顔を傾けると黒い液体(石油)が口から流れ出す。それをデッキブラシでせっせと洗い流しているのです。
彼女らが使う洗剤には「グリーンウォッシュ」と書かれています。石油を垂れ流すシェルと、グリーンウオッシュを使って何もなかったかのように即座に、綺麗に後片付けをする掃除婦さんたちは、実はグルだったというオチなわけ。
「あーあ、こんなに汚しちゃって。しょーがないわね、私たちがいないとどーしようもないんだから‥」とくわえタバコで働く女性たち。
「私たちのタバコが引火すると大火事になっちゃうしね、早く綺麗にしてしまいましょーねー」
という感じでしょうか。
このエリアは裕福な人が多く、大きな美術館や博物館が固まっていて、タクシーで乗り付けて博物館に入っていく親子もちらほら。なかなか不思議な光景に、手を引かれた子供達は目を丸くしておりました。
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